JEN CITY

Case5:音楽室にて(2)

僕はまだ昨夜の恐怖に怯えている。
早く授業が終わってくれと願うばかり。
隣の男のへたくそなリコーダーにイライラする。
音楽部に所属する女のファルセットが耳障りだ。
教師の伴奏にあわせてハーモニカの音が聞こえる。
ハーモニカ!?
いや、これは幻聴だ。いかんいかん!
僕は耳をおさえ、目を閉じ、お経を念じはじめる。

気が付くと授業は終わっていた。
ほっとしたのも束の間。
教室に残っているのは僕一人だ。
ヤバイ!!
急いで教室を出ようとしたその時だった。

ポロン♪
一瞬にして背筋が凍りつく。
唾を飲み、ゆっくり倉庫の方を見る。

ポポポンペンペーン
ペペペピピピペペペポポーン♪(逃亡者)

またかよ!!
自分の意識とは関係なく、足は倉庫へと進む。
そして、勢いよく扉をあけた。
するとそこには!!!!

グロッケン!
箱にはやっぱり「SUZUKI」の文字。
しかもGLOCKENって!
こ、これってやっぱり、、、

JEN CITY,,,

僕はショックでその場に崩れ落ちてしまった。
あぁ、JEN CITYにとり憑かれてしまったのだろうか。
おばあちゃん、どうすりゃいいんだよ・・・。
軽く放心状態な僕を嘲笑うかのように、
グロッケンは鳴り続けるのであった。
ポポポンペンペーン♪

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