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POP SAURUS 2001 ライブレポート

9.24 沖縄 宜野湾市海浜公園野外劇場

生涯最高の夜とビール (2)

桜井和寿、登場。

 近い。桜井和寿が目の前にいる。これを目の前にいる、というのだ。そして一歩二歩と前に踏み出すと「やぁがぁてすべてぇがぁ~!!」。きゃああああああああ!自分の中から様々な感情が溢れだし、言葉にならない声を発した。桜井和寿が目の前で唄っている。この事実は間違いないようだ。どうやらこの幸せな夢は夢ではなく、本当なのだ。確認するようにshinobuっちの腕をつかんで「桜井和寿が唄ってるぅ!!」と言ってしまった。
 「負けないように枯れないように笑って咲く花になろう」大合唱だ。桜井氏も目を丸くする。そして嬉しそうに渾身の声で「さぁがそぉ~う!」ものすごい拍手と歓声の中、ミスチルのライブが今はじまった。

 長様も普通に目の前を通ってドラムを前にして座る。すべてのメンバーがそろった。「I'll be」後半部分の盛り上がりは体もそのクレッシェンドする様を受けてとまらない。とめられない。桜井氏はどこか上の方を見つめて歌っていた。あたしは気になってつい上をみあげた。そしたら隣の人も同じ事をしていた。ちょっぴり、うれしかった。

 そしてフェードアウトのようにおわり、「ラララ」がとても和やかなムードで始まる。桜井氏もやっと満面の笑顔だ。これも大合唱。あたしの歌声、届いてる?聞こえてる?桜井氏、あまりに楽しかったのか2番にはいるときにマイクスタンドを倒すハプニング!いつもと違う、使い慣れていないマイクスタンドで扱いが違ったか?普通は三脚になっているスタンドが運動会のかけっこの旗を入れるようなベースになっていたのだ。
 桜井氏、31歳だけど顔を赤らめる。すごく、かわいい。「ラーラララ ララ ラーラララ」と唄うところ。長様を見るとJENスマイルだ。菩薩もまっ青の癒し系スマイル。みんなが手を振るところを手拍子でやってる。すぐさま周りはJENスタイルに。

 そしてその穏やかで優しい雰囲気のまま「君がいた夏」へ。あたしは野外で、それも海のそばでこの歌を聴けるのがすごく嬉しかった。そして「秋か来れば僕らまた元の場所へ戻ってくけど気持ちはこのまま」という詩がまるで私たちみたいだと思った。

 そして「LOVE」へ。桜井氏、今日2回目のハプニング。サビを忘れる。「なにげなくなんとく他の誰かに」のところを、違う歌い出しだったのか忘れたのか分からなかったけど、目をつぶって首を傾げて唄う姿勢のまま「くぅーっ」と苦笑い。あたしたちは桜井氏をいじめるように、もっと大きな声でそこの部分を歌って教えてあげた。31歳だけど、赤面。このあとは「燃えるよな恋じゃなく・・」の部分、2番共にふてくされた子供のように歌っていた。歌うと言うより話し声でね(^-^)。

 多分この曲だったと思う。あたしは笑顔で一緒に歌ってた。桜井氏がちょうどあたしたちのあたりを見渡した。あたしとも目があった。ほほえんでいる桜井氏を見て、すごくうれしくなって「ニカっ」って笑い返した。大きい口を開けて唄っている顔を見られているのはちょっと恥ずかしかったけど。そしたらなんと「ニコッ」とほほえみ返してくれたんだ。

 ほんとに楽しい。会場が小さいせいだけじゃない。ここは沖縄。非日常の世界。いろんなことを忘れて、ただこの素敵な時間のことだけを考える、みんな同じ気持ちだからみんなが通じ合える。こんなに一体となったライブを、私は体験したことがない。今までもそういった感覚はあったけど、比べモノにならないほど今回のは・・。「星になれたら」ではもちろん「空に手をかざしてみよう」と手をかざす。けど曇り空。星が見えない。けどみんなで空に手をかざしたことは忘れない。

 最初のMC。「今日で最後です。1曲1曲噛みしめながらやります」蚊の話しはshinobuっちが書いてくれています。とにかく速いらしい。31歳、蚊に負ける。MCで何を言っても盛り上がってしまうので「えーとそれではですね」と話しを切り上げようとすると「えー!!」とブーイング。「あんまり盛り上がってもねぇ、次バラードなんで(笑)」

 「車の中で隠れてキスしよう」長様はこれには参加していらっしゃらない。なのでじっくりと桜井氏を見た。ほんとに憧れ続けた人がいま、目の前で唄ってるよ。

 そして長様たち再び登場。機械音だ。これを聴いたらあれしかない!「Dance Dance Dance」ここで桜井氏はまたもや真ん中のあたしたちの前にきて、一人一人をじっくり見ていった。もちろんあたしも見た。でもさっきとは全然違う目で見てた。大きく見開いた、ちょっと怖いともとれる目。でもほんとにじっとみるので思わず目をそらしたくなった。多分桜井氏もそうなんだとなぜか思った。やっぱり唄ってるときだってあんなふうにじっと見るの、やっぱ照れるよなぁ。ここでやっとナカケーに触れようか(^^;)スナイパーはまだ本領発揮していないね。ベースソロでやっとまともにナカケーを見る。うーん、渋い。

 「Round about」ですごく懐かしい気持ちになった。初めて行ったライブで聴いた曲。「Oh~Oh~Oh」のところなんて手と一緒に気持ちがステージに飛んでいきそうだった。ここの最後のキメがかっこよかった!健一さんもとっても感情を表にだしなさっていたわ。

 「シーラカンス」「手紙」への流れ。すこし心細いような気持ちになる。深海の底でひとりぼっちでいるような気がした。
 「マシンガンをぶっ放せ」ではやはりテロ事件を思い起こさずにはいられなかった。「見えない敵」「殺人鬼も聖者も凡人も共存してくしかないんですね」。「イマジン」を流すことを自粛するというばかばかしい風潮に一種のあきらめと不安を感じていた。今こそ「イマジン」を唄うべきなのに。無能なる組織にマシンガンをぶっ放したくなった。

 そして本来なら一番の暴れどころの「ニシエヒガシエ」。なのにうちの長様が不摂生のためドラムが叩けない!という非常事態宣言をしたため(というより却下された)、あのようなアレンジで。けど今回もチェックポイント「ズバンスバン」のところ。なんと!長様は今回はヘッドなんとかをなおしていらっしゃったのです!!(涙)ああ、そんな姿見たくなかった・・。でもでもそのすぐあと「昨日の僕になんてバイバイ」のところで、スティックを振って無表情で(どんな顔か分かる?)「バイバイ」ってなさっておいででしたvステキックス(by nica&みやっち殿)

 あたしはここまでことごとく長様の動きに反応をしてきました。もうアッピールアッピールです!絶対に分かったに違いない、ここに裸族がいると!だってもう既に見かけが裸族でしたから。裸族的にはOKな、でもちょっと公衆的には個人的に無理な姿でした。

 「光の射す方へ」もちろん人差し指は前方へ!サビが始まる前の「ドン!」でジャンプ。暴れ曲健在。どうしよう、このままでずっといたい!このままで時間がとまればいい。そしたらずっとしあわせでいられる。

 けど幸せな時間というのはけして長いものではないのだ。短いからこそ、より幸せを噛みしめられるのだ。「深海」はアルバムラストの曲だけに、終わりが近いことをを感じさせた。「連れてってくれないか 連れ戻してくれないか 僕を 僕も」。連れていきたかった。連れ戻したかった。あの時の感情がよみがえる。桜井氏を絶望からすくい上げたいと本気で思っていたあのころの気持ちが。

 演奏が終わり、静寂が一瞬宿る。「Tomorrow never knows」「癒えることない痛みならいっそ切り捨てて」。こんな強さを持ちたい。癒えることのない傷でも、思い出としてしがみついてしまう自分。「心のまま僕は行くのさ 誰も知ることのない明日へ」明日へと踏み出す勇気。これを唄うたびに少しだけ強くなれるような気がする。

 shinobuっちにとっても大切だけど、あたしにとってもとても大切で残酷でもあった曲「Hallelujah」。この歌を判断基準にしてしまったために恋を一つなくした。でもそれで良かったんだと、今は思える。あたしの憧れの曲です。「ハレルヤ」の合唱。心の限り、声の限りあたしは唄った。どうして「ハレルヤ」とつぶやくだけで、まるで天空から光り指すような情景が浮かび、聖なる気持ちになれるのだろうか。キリスト教徒でもない。でも「ハレルヤ」という言葉はそれだけですべてを洗い流し、清めるような力があるように思う。実体のないものを信じるという点に置いては、神を信じるも愛を信じるも同じ。おなじくらいあやふやで同じくらい尊い気持ち。
 あたしはミスチルの音楽を信じてる。私の「ハレルヤ」という言葉はミスチルの音楽に向けられているのだ。ミスチルの音楽に誓う。そういう気持ちで唄っていたと思う。

 そしてこのツアーで最も重要な位置に据えられた、生まれ変わった姿の「花」。「負けないように枯れないように笑って咲く花になろう」。花の咲く姿は美しい。困難に勇気を持って立ち向かう人の姿も同じように美しい。

そして本編が終わった。

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